
大手消費者金融会社やローン会社、ローンカードなどの借金返済がかさんで多重債務者状態に陥っているなら、任意整理手続きで解決することがおすすめです。
任意整理を弁護士や司法書士などの専門家に相談依頼する場合、委任状が必要になることがあります。
専門家への委任状はどのようなものであり、何に使われるのでしょうか。
今回は、任意整理で必要になる委任状について解説します。
委任状は司法書士・弁護士に任意整理を依頼する証拠
プロミスやアコムなどの消費者金融業者やロプロなどから請求が来ていて借金の支払いを延滞している場合には、債務処理方法として任意整理で解決することがおすすめです。
任意整理は自己破産などと比べて手続きが簡便で周囲への影響も少なく、着手金などの費用も安いです。
ただ、素人が自分で手続きするには限界があるので、通常弁護士事務所や司法書士事務所に依頼します。
このとき、弁護士や司法書士といった専門家と、報酬などの条件を定めて契約書を作り、契約日や住所氏名などを記載しますが、同時に委任状の提出を求められることがあります。
委任状とは一体どのようなものなのでしょうか。
一般的に委任状とは、何かを他者に委任することを証明するための書類です。
たとえば本人に代わって情報開示請求する場合などに用いられます。
委任状には、受任者(委任される人)の氏名と委任事務(委任する内容)と委任者の署名捺印がされています。
委任状は、依頼者が任意整理手続きを当該弁護士や当該司法書士に依頼することを証明するための書類です。
受任者名は司法書士・弁護士となっており、委任事務の内容は任意整理手続き及びそれに附随する手続き事務、委任者は依頼者となります。
依頼者は委任者として、委任状に署名捺印する必要があります。
債権者に示すために利用する
任意整理の委任状は一体何に使うものなのでしょうか。
任意整理手続きにおいては、委任状は主に専門家が債権者に対し、実際に依頼者から任意整理手続きについて委任を受けている事を証明するために使います。
任意整理手続きでは、専門家は依頼者に代わって債権者に通知を送り、取引開示請求をしたり借金返済額や返済方法の交渉をして、最終的には和解書を作成しないといけません。
これらの手続きの最中に債権者らが「本当に委任を受けた弁護士なのか」を確認するため、専門家に対して委任状の提出を求めることがあります。
このようなときに委任状が無いと専門家は自分の代理権を証明することが出来ず、それ以上任意整理手続きを進めることが出来なくなってしまいます。
よって、委任状は専門家が自分の代理権を証明するための証明書であり、任意整理手続をすすめるために必須の重要な書類だと言えます。
裁判対応では必須になる
任意整理手続の最中に過払い金が発見されることがあります。
過払い金請求しても話し合いでは決着がつかない場合は、過払い請求の裁判を起こす必要があります。
この場合、簡易裁判所などの裁判所に対して、専門家に訴訟の代理をしているということの証明のために委任状を提出することが必須になります。
委任状がないと裁判所は申し立てを受け付けません。
よって、裁判所を利用して過払い金請求する場合には専門家への委任状の提出が必須になります。
裁判用の委任状は、任意整理の際に提出していた物とは別のものを要求されることが普通です。
個人情報開示請求でも委任状が必要
任意整理と委任状が関係する場面がもう一つあります。
任意整理をすると信用情報機関が保有する延滞情報などの個人信用情報に事故情報(異動情報)が記録されて、いわゆるブラックリスト状態になり、住宅ローン借り入れなども出来なくなります。
任意整理手続き後5年程度で事故情報は消除されますが、その際本当に消除されたかどうかを情報開示によって確認することが可能です。
このときの情報開示手続をご主人などの代理人に委任することが出来ますが、その際代理人に情報開示手続を委任する場合に、委任状が必要になります。
まとめ
任意整理では、司法書士や弁護士といった専門家が依頼者に対して委任状の提出を求めることがあります。
専門家は依頼者から得た委任状を債権者に示すことによって、自分が本当に依頼者から任意整理の手続き依頼を受けたことを証明します。
過払い金請求などで裁判になった場合には、別途裁判所提出用の委任状が必要になります。
個人情報開示請求を人に代わりにしてもらう場合にも委任状が必要です。