
債務整理(任意整理や自己破産、個人再生など)や借金滞納をするとブラックリスト状態になり、基本的には数年間どこからも借り入れができなくなります。
借り入れのできない生活は不便なことも多いです。
今までの自分の姓名で審査に通らなくても、結婚してからの新しい姓(苗字)であれば審査に通るのではないか?と考える人もいるかもしれません。
今回は、債務整理後や借金返済滞納中に結婚した(婿養子になった)場合、新しい苗字でなら融資を受けたり、クレジットカードを作成したりすることはできるのかについて、解説します。
<この記事の要約>
- 結婚して苗字が変わっても、ブラック期間であればやはり借金することは難しい
理由1:貸付の際、金融機関で旧姓の確認を徹底している
理由2:結婚しても変わらない本人確認書類の提出が必要
理由3:(婿養子の場合は特に)まっさらな信用情報は疑われやすい - 独身時代からの借金をほったらかしにしていることは非常にリスクが多いため、なるべく早く専門家に依頼して債務整理を行うのが最善
目次
消費者金融などの借金返済を債務整理・滞納するとブラックリスト状態になる
まず前提として、消費者金融やクレジットカードなどの返済を債務整理したり一定期間以上返済滞納したりすると、いわゆるブラックリスト状態になります。
ブラックリスト状態とは、個人信用情報を管理する信用情報機関において事故情報(ブラックリスト情報)が記録され、金融機関から借り入れが出来なくなることです。
ブラックリストについて詳しい記事はこちら:「ブラックリストとは?【借金滞納や債務整理をした場合】」
信用情報機関のうちのひとつ「CIC」の情報開示申込書には旧姓の記入欄がありますが、任意であり必須ではありません。
(参考:郵送で開示|自分の信用情報を確認|指定信用情報機関のCIC)
この信用情報を開示して見ることができるのは、本人か、本人が審査を申し込んだ銀行や消費者金融・カード会社などの金融機関のみです。
もし、ブラック期間中に金融機関が信用情報を取り寄せて確認しても、新しい姓(名字)での事故情報は登録されていないということになります。
苗字の変更の届け出をせずに、新しい苗字でローンなどの審査を申し込めば、通ってしまうのではないでしょうか?
結婚(婿養子になる)などで苗字が変わっても基本的には審査には通らない
確かに、過去には結婚で苗字が変わると、旧姓で借入れをしていた頃の情報が追いかけられなくなりブラックリスト状態から解放されることがありました。
しかし、現在では苗字が変わったからと言って、ブラックリスト状態から解放されることは難しいと言えます。
理由1| 金融機関で旧姓の確認を徹底するようになった
金融機関は貸付の審査をする際には、ほぼもれなく「旧姓」の確認を行うようになりました。
消費者金融などではweb上で申し込みが完了する場合もありますが、そのような場合でも申し込み画面に旧姓の入力箇所があることがほとんどです。
理由2|運転免許証などの本人確認書類により照合される
融資の申し込みには本人確認書類が必要です。
結婚しても運転免許証の番号などは変わらないので、結局以前の情報と照合されてしまいます。
銀行や消費者金融などは、貸付したお金を利息とともにしっかり返済してもらうことにより利益を得ているので、借金を踏み倒されないよう様々な方法で情報収集・追跡を行うのです。
結婚して苗字が変わったくらいでは、簡単にごまかせないということですね。
理由3|まっさらな信用情報は逆に疑われやすい
新しい姓で信用情報を開示し、確認すると、これまでの「債務整理をした」「滞納をした」などの情報は明らかにならず、一見まっさらな状態になっています。
事故情報がないので、ローン審査に通りそうな気もしますよね。
しかし、金融機関では、特に男性のホワイト状態には厳しい対応をとることが多いです。
まず、ある程度の年齢の男性がクレジットカードを一度も使ったことがないということは不自然ですから、信用情報がまっさらだと徹底的に調べられます。
過去に横行したネームロンダリング(反社会的勢力などによる、養子縁組で名前を変える詐欺)も疑われるため、調べても何も情報が出てこない場合は基本的には審査に通りません。
このように、婿養子になるなどして姓が変わったからといって、ブラックリスト状態から解放されることは難しいのです。
ほったらかしの借金がある場合の対処法は?
ここまで、債務整理をした場合だけでなく滞納した場合もブラックリスト状態になることをお伝えしてきました。
もし滞納したまま、ずっとほったらかしの借金がある状態で結婚することになった場合、どのように対応したら良いのでしょうか。
結論としては、なるべく早く債務整理をすることです。
債務整理にはいくつか種類がありますが、滞納し始めてから5年以上経っており、その金融機関と連絡も取っていないのであれば時効の援用の手続きがとれる可能性があります(手続きをしなければ自然に借金がなくなることはありません)。
手続きが成立すれば借金は消滅するので、もう支払いする必要は無くなります。
時効の援用手続きについて詳しい記事はこちら:「クレジットカードや消費者金融などの借金は時効になる?」
もちろん時効援用の手続きがうまくいかず、時効にならない場合もあります。そのような場合は他の債務整理で解決できることもあります。
債務整理専門の弁護士に依頼すれば、どの債務整理が最善かを判断し、柔軟に対応してくれます。
借金をほったらかしにするデメリット
まず前提として、借金を放置していても基本的にはブラックリスト状態は回復しません。
住宅ローンや子供の教育ローンなど、人生の大切な局面で必要なローンが組めないということになります。
また、前述したように、金融機関は借金踏み倒しを防ぐために日々情報網を強化しています。
一生借金を放置したままで済むとは考えづらいのです。
過去の借金を結婚相手や家族に内緒にして結婚しても、突然請求書などの書類が自宅に届いたり、金融機関から自宅に電話があればバレてしまいます。
借金を解決しないままにしているということは、常にそのリスクがつきまとうということです。
債務整理の種類によっては、家族に内緒で進められる可能性もあります。
まずは実績のある弁護士事務所に相談をし、親身になってくれるところに依頼しましょう。
まとめ
債務整理後に結婚して苗字が変わっても、ブラック期間であればやはり借金はできないと考えておくべきでしょう。理由として、
・貸付の際、金融機関で旧姓の確認を徹底している
・結婚しても変わらない本人確認書類の提出が必要
・(婿養子の場合は特に)まっさらな信用情報は疑われやすい
ということが挙げられます。
独身時代からの借金をほったらかしにしていることは非常にリスクが多いため、なるべく早く専門家に依頼して債務整理を行うのが最善です。
もし未払いの借金がある場合は、こちらの無料診断もご利用いただけます。必要であれば無料で相談もしていただけます。