法人・会社に最適な債務整理とは?メリット・デメリットを解説

最終更新日:2022/05/13

監修

弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 町田 麻美

弁護士法人サンク総合法律事務所 町田 麻美

申告書類

株式会社などの法人を経営していると、負債がかさんで支払いが厳しくなってしまうこともあります。

法人も債務整理をすれば負債を減免してもらえますが、個人の債務整理とはとりうる手続きの種類や効果が異なります。

今回は法人・会社の負債、借金がかさんでしまったときの債務整理の方法の種類や特徴、選び方をお伝えします。

私的整理や民事再生、破産などの倒産手続きの違いやそれぞれのメリット、デメリット、費用の相場などを知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

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この記事の要約
  • 法人の債務整理手続きには私的整理、民事再生、破産、特別清算、会社更生がある
  • 会社を残したいなら私的整理か民事再生、会社を廃業してよいなら破産か特別清算を選択する
  • 法人が破産すると代表取締役(社長)も同時に破産する場合が多い



法人の債務整理手続きと種類

家計 やりくり

株式会社や合同会社などの法人も、負債や借金を整理するために債務整理を利用できます。

法人とは株式会社や特例有限会社、合同会社や社団法人などの「団体に法人格が認められたもの」のことです。

法人と個人は異なる主体として取り扱われるので、法人が債務整理をしても、経営者には影響が及ばないのが原則です。ただし経営者が法人の負債を保証している場合、経営者個人にも支払い義務が及びます。

法人の債務整理手続きには以下の種類があります。

私的整理

私的整理は借入先の金融機関などの債権者と直接交渉して、借入金の支払金額や支払い方法を決め直す手続きです。裁判所を利用することなく、借入先の金融機関との個別交渉によって負債を減額してもらいます。

私的整理をしても会社はなくならず、財産も維持できます

個人の債務整理でいうと「任意整理」に近いものと考えるとわかりやすいでしょう。

民事再生

民事再生は、裁判所に申立てをして再生計画案を提出し、返済すべき負債を減額してもらう手続きです。裁判所を介するので手続きが複雑ですが、その分大きく負債を減らしてもらえるメリットがあります。

民事再生をしても会社はなくなりませんし、財産も維持できます。個人の「個人再生」とよく似た手続きです。

破産

破産とは、裁判所によって選任された破産管財人が破産者の財産を債権者へ配当する手続きです。

法人にも破産手続きが適用されます。代表権限を持つ人が申し立てる場合を自己破産、取締役や一般の理事などが申し立てる場合を準自己破産といいます。まれに債権者が申し立てる債権者破産もあります。

法人が破産すると、負債は全額消滅して支払い義務がなくなりますが、法人自体の存在がなくなります。また個人のケースと違い「免責」という概念がありません。

法人自体が消滅するので、税金や保険料などの未払金があっても全額免除されます

特別清算

特別清算は、「株式会社に債務超過のおそれのある場合」や、「通常の清算事務の遂行に著しい支障が発生する場合」に利用できる特別な精算手続きです。

債務超過の可能性があると通常の清算手続きを進められず、特別清算によって会社をたたむ必要があります。特別清算をすると会社がなくなるので、負債の返済義務もすべてなくなります

破産との違いは、特別清算の場合には会社の代表者自身が特別清算人となって自主的に負債の整理を進めやすい点です。ただし債務の返済条件等についての債権者との協定については、債権者集会に出席した債権者の過半数の同意、総債権額の3分の2以上を有する債権者の同意のいずれもが必要となるため、反対する債権者が多い場合には特別清算ができません。

また破産はすべての種類の法人や個人が利用できますが、特別清算できるのは株式会社のみです。

会社更生

会社更生は、大規模な会社を再生させる目的で利用されることの多い債務整理手続きです。
手続きが開始すると裁判所が更生管財人を選任します。

更生管財人は債権者などの利害関係者の同意を得て更生計画を作り、会社を再生させます。
会社更生に成功すれば、会社を潰さずに済むといえます。

担保権者や株主の権利も制約して更生計画によってカットできる、合併や減増資等の組織再編行為も比較的簡易にできるなど、大幅な改革をしやすいのが特徴です。

ただし会社更生を申し立てると株式の価値はなくなり、それまでの経営者は会社経営から外れて、新しくついたスポンサーが株主になるのが一般的です。

代表取締役が変更されることや、費用も高額になることから、非上場の中小企業ではあまり利用されません。また会社更生を利用できるのは株式会社のみとなっています。

法人の債務整理選択基準

書類
法人の負債がかさんだとき、どのような基準で債務整理手続きを選択すればよいのでしょうか。

会社を残したいなら私的整理か民事再生

まずは「会社を残したいかどうか」が重要です。

代表者の希望だけではなく、客観的に事業に将来性があって再建が可能かどうかという視点も加味して検討しましょう。

会社を残せる債務整理手続きを「再建型の倒産手続き」といい、以下の3つがあります。

【私的整理】

メリット
私的整理に成功すると、会社を残せますし財産にも影響が及びません。手続き後、スムーズに会社を再建しやすいメリットがあります。
また裁判所を利用しないので「倒産」のイメージが薄く、会社のイメージ低下が起こりにくい点もメリットといえるでしょう。
対象とする債権者を選べるので、経営を大きく圧迫している負債のみを選んで整理できます

デメリット
私的整理は債権者と直接交渉して負債を減免する手続きなので、大きく負債を減らすのは困難です。あまりに負債額が高額になっているなら、私的整理は適さないでしょう。
また一般的に、整理の対象は金融機関からの借入金となり、取引先からの負債などは対象にしません。金融機関以外からの負債がかさんでいる場合、私的整理では解決が難しくなることが想定されます。
債権者との個別交渉となるので、借入先が負債の減免に応じてくれなければ解決できません。

【民事再生】

メリット
民事再生は裁判所を介して負債を減額できる手続きです。1社1社と和解しなくても再生計画案が認可されると負債を減額してもらえるので、私的整理で話し合いに応じてくれない債権者がいる場合でも解決できます。

私的整理より大きく負債を減らせるのもメリットです。

デメリット
裁判所への申立てが必要なので、必要書類も多く労力と費用がかかります。

また債権者決議で否決されると負債を減額してもらえないので、必ず成功するとは限りません。
なお会社更生も会社を残せる手続きですが、大規模な株式会社を予定しているため、ここでは詳細な説明を省きます。

会社を廃業してよいなら破産か特別清算

今後の経営状況の改善に期待ができず、会社をいったん廃業したいなら破産か特別清算を選びましょう。これら2つを清算型の倒産手続きといいます。

【破産】

メリット
破産すると、会社とすべての負債が消滅するので、一切の借金の支払いをしなくてよくなります。代表者は経営から外れ、新たな人生をやり直せます。すぐに別会社を起業することも可能ですし、就職も自由にできます。

また債権者が反対しても破産はできます。民事再生に失敗して破産に至る企業の例も少なくありません。

今後、会社の業績が改善する見込みがないなら破産を選択するのが良いでしょう。

デメリット
破産すると、会社がなくなります。これまで育ててきた会社がなくなるのはしのびないと感じる経営者もおられますし、従業員がいたら迷惑をかけてしまうでしょう。

不動産や株式などの資産はもちろん、社会において積み上げてきた信用も失われます。

【特別清算】

メリット
特別清算をする場合、破産管財人(通常は地域の弁護士)ではなく会社の元代表者が特別清算人となって手続きを進められるケースが多数です。「自分で会社を清算したい」代表者にとってはメリットがあるといえるでしょう。

破産よりも柔軟な対応がしやすく、比較的迅速に手続きを進められるメリットもあります。

デメリット
債権者の多数が反対すると、特別清算はできません。財産や負債の状況が複雑な事案では、特別清算に失敗して破産手続きに移行する例もあります。

また特別清算は株式会社しか利用できないので、他の形態の法人の場合には別の債務整理手続きを選択しなければなりません。

最適な債務整理の方法は、各法人によって異なります。

自分一人で状況を判断し、適切な債務整理を選ぶのは難しいことが多いので、ぜひ一度弁護士までご相談ください。

法人が破産すると代表取締役(社長)も同時に破産する場合が多い

面談

会社の経営が難しくなり、破産せざるを得ない状況となったら代表者も一緒に破産しなければならないのでしょうか?

法律上、会社と代表者は別人格なので、会社が破産したからといって必ずしも代表者が破産する必要はありません。

会社だけ破産させて代表者が破産しない場合、代表者の個人名義資産には影響が及ばず、すべて残せます。また会社の負債が代表者に及ぶ可能性もなく、会社の借入金や未払いの税金などを元代表者が払う必要もありません。

ただし代表者が会社の保証人になっている場合、会社が破産すると元代表者へ一気に負債の支払いが押し寄せます。そうなると、代表者も破産せざるを得ません。

日本では会社の借入時に代表者が個人保証しているケースが多いため、会社が破産するときには代表者個人も一緒に破産する例が多い傾向にあります。

なお会社は破産を選択し、代表者は任意整理や個人再生を行う方法も検討できますが、法人の負債額は高額なので任意整理では解決できないケースが多数です。また個人再生も限度額が5,000万円となっており、適用が難しい例が多いので、結局は破産を選択するケースが多くなっています。

法人破産と代表者個人の破産について、詳しくはこちらの記事をチェック!


法人で債務整理をするメリット・デメリット

メリット

・会社の負債を整理できる
法人が債務整理をすると、負債を減額してもらったり免除してもらったりして、資金繰りや支払いに関する窮状を打開できる可能性があります。

・場合によっては会社を残せる
私的整理や民事再生に成功すると、会社を残せます。
いったんは負債に苦しめられてもこれらの再生型の債務整理を利用し、経営努力によってV字回復に成功した企業も少なくありません。

・やり直しができる
破産や特別清算によって会社を廃業すると、元経営者は苦しい会社経営から解放されます。
新たな事業を興したり別会社に就職したりして、人生のやり直しができるのもメリットといえるでしょう。

デメリット
・イメージ低下
会社が債務整理をすると、世間では「倒産」とみなされてイメージが低下してしまうものです。破産させると「破産会社の社長」としてみられて、個人の信用が低下するデメリットもあります。

・会社がなくなるおそれがある
破産や特別清算などの清算型債務整理を利用すると、会社の存在自体がなくなります。

「できれば会社をつぶしたくない」「取引先や従業員に迷惑をかけたくない」という代表の方にとってはデメリットとなるでしょう。

・再生手続は必ず成功するとは限らない
民事再生や私的整理をすると会社を残せますが、必ず成功するとは限りません。負債が高額過ぎる、債権者の多数が反対するなどの事情により、破産せざるを得なくなるおそれもあります。

・代表者も破産しなければならないリスクがある
会社を破産させると、個人保証していた代表者もともに破産しなければならないケースが多数です。そうなると基本的には代表者の個人財産もなくなりますし、代表者の個人信用情報に事故情報が登録されて、いわゆるブラックリスト状態になってしまいます。

なお代表者が破産しても代表取締役や役員にはなれるので、別会社を作ったり他人の経営している会社の役員に就任したり勤務したりするのは自由です。

法人破産と個人破産の費用相場

破産するときには費用がかかります。

具体的には裁判所へ納める費用と弁護士費用の2種類です。

なお法人破産の場合、個人破産以上に複雑なので弁護士への依頼がほぼ必須でしょう。

裁判所の費用

裁判所の費用としては、申立の際の収入印紙代と郵便切手、官報公告予納金、管財人の予納金が必要です。

申立の際の収入印紙代は1000円、郵便切手代は数千円、官報公告予納金は15,000円程度です。

以上に対し、破産管財人の予納金は高額になります。会社の負債額によっても異なりますが、最低70万円、高額な場合には数百万円にもなってしまう可能性があります。

ただし「少額管財」になると、予納金の金額が安くなります。

少額管財とは、小規模で単純な管財事件に適用される簡易的な手続きです。

弁護士が代理人になっている場合に限り、少額管財にしてもらえる可能性があります。

少額管財事件になると管財人の予納金の額が20万円程度に下がるので、負担が大きく軽減されます。

弁護士費用の相場

法人破産を弁護士に依頼する場合の弁護士費用は、依頼先の事務所によって異なります。

概ね50~150万円程度となる事務所が多いでしょう。

負債総額や債権者数によって費用が変わる事務所もあるので、詳細は依頼先の弁護士と相談してみてください。

法人で債務整理(破産)するときの流れと準備する書類

法人破産の流れ

法人が破産するときの流れは以下のとおりです。

① 弁護士へ相談し、依頼する
② 各債権者へ受任通知を発送する
③ 必要書類の収集や作成などの準備
④ 破産申立
⑤ 破産手続開始決定と破産管財人の選任
⑥ 破産管財人との面談
⑦ 債権者集会と破産管財人による換価の手続き
⑧ 債権者への配当と破産手続き終結
⑨ 法人と負債の消滅


必要書類

・収集しなければならない書類
集めなければならない必要書類(資料)は概ね以下のようなものとなります。

  • 法人登記の全部事項証明書(3か月以内のもの)
  • 直近2期分の決算書 (貸借対照表・損益計算書も含む)
  • 清算貸借対照表(申立時現在)
  • 不動産登記の全部事項証明書
  • 事務所などの賃貸借契約書のコピー
  • 過去1年分の預貯金通帳や取引明細書
  • 手形・小切手帳
  • 受取手形
  • 有価証券のコピー
  • 車検証や登録事項証明書のコピーと評価書
  • 保険証券のコピーと解約返戻金計算書(会社名義で保険に加入している場合)
  • ゴルフ会員権証書のコピー
  • リース契約書のコピー
  • 訴訟関係書類のコピー
  • 債権調査票(弁護士に依頼していれば弁護士が収集)


ただし状況によっては別途書類が必要になる可能性もあります。

・作成すべき書類
破産申立に際しては、以下のような書類を作成しなければなりません。

  • 破産申立書
  • 取締役会議事録又は取締役の同意書
  • 申立補充書
  • 一般債権者一覧表
  • 労働債権者一覧表
  • 債務者一覧表
  • 財産目録
  • 陳述書(報告書)
  • 弁護士への委任状


弁護士に依頼していれば、ほとんどの部分を弁護士が作成します。

まとめ

法人が債務整理をするときには、どの手続きが最適なのか、代表者の希望や法人の客観的状況、今後の展望なども踏まえて決定しなければなりません。また非常に複雑な手続きとなっており、代表者や役員の方がご自身たちで進めるのは困難です。

どの債務整理をするとしても、対応は早ければ早い方が望ましいといえます。早めに相談すれば、私的整理や民事再生によって会社を残せる可能性も高くなります。

現在、少しでも経営に困難を感じているなら、すぐにでも債務整理に積極的に取り組んでいる弁護士へご相談ください。

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