
ローンなどの借金をしている場合であっても土地建物などの不動産を所有しているケースがあります。
このような場合に借金返済のために不動産売却をしたら、譲渡所得税などの税金が免除されることはないのでしょうか。
他人の借金の場合と自分の借金の場合とで異なる取り扱いがあるのかも気になります。
今回は、借金返済のために不動産売却をした場合の税金について解説します。
<この記事の要約>
- 実は、他人の借金の場合と自分の借金の場合とで取り扱いが異なる。
借金返済のために不動産売却しても譲渡益に対して税金(譲渡所得税)がかかる。 - ただし、他人の保証人になっている場合には譲渡所得税はかからない。自分の借金返済のためであっても、支払不能状態で売却金を全額借金返済に充てた場合には不動産譲渡所得税が非課税になる。
- 置かれている状況によって借金が免除される場合もあるが、借金が免除されない場合もあるため、不動産を売却する前に弁護士や司法書士に相談するのがおすすめ。
不動産の譲渡所得税とは?
家や駐車場、田んぼなどの不動産には、さまざまな税金がかかります。
不動産を所有していれば固定資産税がかかりますし贈与すれば贈与税がかかります。
今回問題になる不動産売却にかかる税金は、不動産譲渡所得税のことです。
これは、不動産を売却して入ってきたお金(購入資金との差である譲渡益)に対して、その金額に応じて課税される税金です。
銀行等から借金をしている場合に不動産を売却して借金返済することがありますが、その売却金にも原則として不動産の譲渡所得税(譲渡税)がかかります。
たとえば両親が息子の借金返済のために父個人名義の土地を売却しても税金がかかるのです。
このような不動産売却の際にかかる税金である譲渡所得税が非課税になることはないのかというのが今回の質問です。
他人の借金返済の場合には譲渡所得税が非課税になる
借金返済のための不動産売却の税金が非課税になるケースはあります。
それは、自分が他人の保証人になっている場合です。
全くの他人の場合だけではなく父親が息子の保証人になっていたり兄が弟の保証人になっていたり、事業経営者が自分の会社の保証人になっているケースでも基本的に非課税です。
このように、保証人が自分の不動産を売却して借金返済してくれた場合には、一般的にはその不動産売却の際の譲渡益には譲渡所得税がかかりません。
これは、不動産売却の税金の特例の一つです。
自分の借金の場合には原則的に課税される
他人の借金返済のための不動産売却には、一般的に税金がかからないことがわかりましたが、自分の借金返済にはこのような特例はないのでしょうか。
原則的には自分の住居購入の際のローン残高などの借金返済の場合には税金がかかります。
自分の土地建物物件に抵当権を設定していて、借入先からその土地の売却を迫られて売却し、借り入れ金を返済した場合であってもやはり税金はかかります。
しかし、自分の借金返済のためであっても譲渡所得税がかからない特例措置があります。
それは、資力が低く債務超過で支払不能な状態となっており、放置すれば競売手続きにかかるようなケースにおいて、不動産売却金額を全額借金返済に充てた場合です。
たとえば給与所得者でも収入が低く手元に現金(お金)も無く、生活に困って国民健康保険税(健康保険料)も支払えないような状況で借金支払いや滞納分がかさんでいるような状況です。
このように、借金で首が回らなくなっているような状態であれば、自分の借金返済のために自宅住居などについて、不動産屋を介して売却(任意売却)をしても譲渡所得税が原則かからないということになっています。
まとめ
借金返済のために不動産売却しても譲渡益に対して税金(譲渡所得税)がかかります。
ただし、一般的には他人の保証人になっている場合には譲渡所得税はかかりませんし、自分の借金返済のためであっても、支払不能状態で売却金を全額借金返済に充てた場合には不動産譲渡所得税が非課税になる可能性があります。