【自己破産による免責後の生活】メリット・デメリットを詳細に解説!

最終更新日:2021/11/17

監修

弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 堀川 民人

弁護士法人サンク総合法律事務所 堀川 民人

免責とは、簡単にいうと借金を返すなどの責任がなくなることをいいます。個人が破産をする場合には、裁判所に対し、免責を許可してほしいと求めることができます。裁判所がこの許可をし、一定期間、債権者から異議も出なければ、免責となります。この免責までの流れを免責手続といいます。

しかし、免責によっても、実はお金を支払うべきあらゆる責任がなくなるわけではありません。また、自己破産による免責には、メリットだけでなく、デメリットもあります。

そこで本記事では、自己破産の免責の効果は何か、メリットやデメリットは何か、免責後の生活はどうなるのかなどを紹介します。

なお、本来は、破産手続と免責手続とは形式的には違う手続です。また、これらの手続を申請することと、免責を得ることとも、違うものです。しかし本記事では、分かりやすくするため、これらの違いにこだわらずに説明します。

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この記事の要約
▼自己破産で免責を得るメリット
・借金を返さなくてもよくなること
・一定の債権者が起こした訴訟手続が中断すること
・給料の差押えなどの強制執行などが失効すること

▼自己破産で免責を得るデメリット
・ブラックリスト状態になる=借金ができない
・一定の財産が処分される
・職業・資格に制限を受ける
・保証人に迷惑がかかる
・官報に氏名等が載る

▼免責後の生活は、ローンが組めない・生活に必要な財産以外は原則としてすべて処分されるなどのデメリットはあるが、それ以外で極端に生活がしづらくなることはない



自己破産で得られる免責について

免責とは、簡単にいうと借金を返すなどの責任(義務)がなくなることです。そのため、借金を返さないことを理由とする差押さえ(強制執行)を受けることはなくなります。

破産法では、「破産債権について、その責任を免れる」と規定されているものです。

ただし、破産者自身の責任がなくなるだけであって、例えば連帯債務者や、保証人の責任まではなくなりません(破産法第253条第2項)。

免責を受けることによって、その他どのような影響が生じるのかについては後述しています。

・破産しても免責されない債権とは?

冒頭でも述べたとおり、実はすべてのお金に関する責任がなくなるわけではありません。つまり、免責後も支払わなければならないものがあります。

まず、上述のように「破産債権」だけについて免責されるので、財団債権に当たるものは免責されないと考えられます。財団債権とは、簡単に言えば、弁済を受ける点で優遇される権利のことです(破産法2条7号)。詳しくは、本記事では省略します。

次に、破産法では「ただし、次に掲げる請求権については、この限りではない」、つまり責任を免れないと規定されており、これがいわゆる「非免責債権」です(破産法第253条第1項各号)。

  • 税金や国民年金保険料、国民健康保険料
  • 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 婚姻費用
  • 子の監護に要する費用(養育費)
  • 扶養料
  • 個人事業者の場合、従業員の給料など
  • 意図的に債権者名簿に記載しなかった債権者に対する債権
  • 罰金等

主に、税金や社会保険料、婚姻費用、養育費が問題となることが多いでしょう。損害賠償については、悪意がある場合や、故意・重過失による人身の侵害の場合などを除いて免責されます。

また、電気代やガス代などのいわゆる公共料金も非免責債権ではないため、免責の対象です(下水道料金を除く。地方自治法附則6条3号、地方自治法231条の3第3項参照)。

免責を得るメリットは?

以下では、免責を受けるメリットを確認していきましょう。

  • 借金を払わなくてもよくなる
  • 一定の債権者が起こした訴訟手続が中断する
  • 給料の差押えなどの強制執行などが失効する

それぞれ確認していきます。

・借金を払わなくてもよくなる
免責を受けると、損害賠償を支払う義務など、一定の責任がなくなることはすでに述べました。

中でも、借金に苦しむ方にとって、免責により、借金を返す義務がなくなることは、大きな魅力といえます。

たとえば、消費者金融のカードローンで大きな借金をしていて、毎月10万円も返済に充てなければならない状況だったとします。免責を受けると、今後、毎月10万円の返済をする必要がなくなります。

・訴訟や差押えから身を守れる
適正かつ公平に破産者の財産を清算するために、破産手続開始の決定があると、債権者による取立てや訴訟から逃れることができるというメリットがあります。

  • 破産債権は、破産手続によらなければ行使できない(破産法第100条第1項)
  • 破産者を当事者とする破産財団に関する訴訟手続は中断する(破産法第44条第1項)
  • 破産財団に対する強制執行等はできず、すでにされているものも効力を失う(破産法第42条第1項・第2項本文)


すると、たとえば、給料が差し押さえられていた場合も差押えを原則として停止させることができます。ただし、例外もありうるので注意を要します(例えば、破産法44条2項・4項、42条2項ただし書)。

免責を得るデメリットは?

これまで免責のメリットを紹介しましたが、他方で、免責にはデメリットもあります。

  • ブラックリスト状態になる=借金ができない
  • 一定の財産が処分される
  • 職業・資格に制限を受ける
  • 保証人に迷惑がかかる
  • 官報に氏名等が載る

それぞれ確認していきます。

・ブラックリスト状態になる=借金ができない
自己破産をすると、ブラックリストに載る、という話を耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。しかし、債務整理をしたり、債務整理をするために借金を滞納したりすると、信用情報機関における個人信用情報データベースに事故情報が登録されうるので、この意味では、ブラックリスト状態になる、とも言ってよいでしょう。

自己破産の情報は、JICCとCICでは5年(破産申請・申立情報)、全銀協の個人信用情報センターでは10年(官報情報)が登録期間となっています。

消費者金融からお金を借りる(カードローン)ときやクレジットカードを発行するときなど、審査の一環としてこの情報が見られます。事故情報があれば審査に通らないことがほとんどでしょう。

また、すでに利用しているクレジットカードがあったとしても、自己破産によって使えなくなる可能性が高いです。クレジットカード会社などは、途上与信という中間審査を実施するためです。

途上与信が行われるタイミングは会社によりますが、少なくとも有効期限の満了時には行われます。

・一定の財産が処分される
破産手続開始決定がされると、99万円以下の現金以外の財産で、法律上差押えができるものは、権利を失い、それを処分されることもありうるようになります(破産法第78条第1項、34条1項3項)。具体的には、これらの財産は破産財団と呼び、破産財団は破産管財人に管理処分の権限が移ります。ただし、裁判所が認めれば、破産財団とならない財産(自由財産)の範囲を広げることもできます(破産法34条4項)。

その後、破産管財人によって破産財団がお金に換えられ(換価)、ローン会社などの破産債権者に配られる(配当)という流れです。ただし、裁判所の運用ないし取決めにより、一定限度の財産は、換価をしなくてよく、ほぼ自動的に自由財産と扱われることもあります。後で、東京を例にまとめてみます。

以上の運用をクリアすれば、たとえば、破産をしても家具や自動車などを手元に残せる場合もあります(もちろん、自動車が担保に取られている場合など、別の理由で手元に残せないこともあります)。

・職業・資格に制限を受ける
一部の職業にある方は、職や資格に制限を受けてしまいます。一部の職業とは、具体的に以下のようなものです。

  • 税理士
  • 行政書士
  • 生命保険募集員
  • 損害保険代理店
  • 警備員
  • 建設業
  • 宅地建物取引主任者
  • その他


制限の内容もそれぞれ異なりますが、免責の許可決定が確定することにより制限が解除(復権)されます。

・保証人に迷惑がかかる
自己破産をすると、保証人に迷惑がかかることがあります。例えば、奨学金を借りる際に保証人を付けていたとします。

確かに自己破産によって破産者本人は奨学金の返済義務は免除されますが、保証人の保証債務が免除されるわけではありません。当然、奨学金を借り受けた機関は保証人に返済を請求します。

場合によっては本人とその保証人それぞれが自己破産に至ってしまう「共倒れ」の危険性もありますので、自己破産をする場合には早めに保証人となっている人にひと言入れておくという対応も必要です。

・官報に載る
自己破産の手続きを進めると、国の新聞ともいえる官報に住所や氏名などが載ってしまいます。どのタイミングで官報に掲載されるのかは下記のとおりです。

  • 破産手続開始の決定がされたとき(破産法第32条1項)
  • 免責許可の決定がされたとき(破産法第253条3項・10条3項)

決定後、実際には約2週間ほどで掲載されることになります。

住所と氏名が誰にでも見られてしまう状態となりますが、通常、一般人が見ることはありませんし、特定の1人を探そうとしても労力を要します。

免責にかかる期間はどうなる?

さて、いざ自己破産したいと思ったとき、免責の効果が生じるまでどのくらいの期間がかかるのでしょうか。

免責までにかかる期間の目安を、以下に簡単にまとめました。

  • 申立てまでの準備期間:1~6ヶ月程度(長ければ1年かかることも)
  • 同時廃止:申立てから免責を得るまで3〜4ヶ月程度
  • 異時廃止(管財事件):申立てから免責を得るまで3ヶ月から1年程度


つまり、弁護士に依頼してから、同時廃止なら早くて4〜5ヶ月程度で免責を得られます。一方、管財事件の場合は早くて4ヶ月、長ければ1年以上要することがあります

なお日本弁護士連合会の調査(※)によると、破産申立てから免責決定までの期間は平均100.69日です。

※参照:日本弁護士連合会「2017年破産事件及び個人再生事件記録調査」(PDF)

自己破産免責後の生活はどうなる?

自己破産で免責許可の決定が確定した後、生活はどうなるのでしょうか。ここでは、免責後も変わらないことと、自己破産で残せる財産と残せない財産について紹介します。

免責後も変わらないことは?

免責後も変わらないことは、以下のとおりです。

  • 99万円以下の現金(自由財産)は原則として手元に残る
  • 裁判所が認める限度・金額での自動車や生命保険などは手元に残せる
  • 賃貸物件には基本的にそのまま居住できる
  • 給料も受け取れる
  • 年金も受け取れる(ただし、破産前から年金を担保に取られている場合などは別)
  • 実際上はサラリーマン・1人親方に近いなど、一定の場合には、破産前からの自営業も続けられる余地がある
  • 生活保護も続けて受給できる
  • 将来の養育費も受け取ることができる
  • 結婚や海外旅行、選挙権も制限されない

なお、自己破産前から延滞などによってローンを組めなかったり、クレジットカードを使えなかったりした場合はその点も変わりません。

信用情報機関が管理する個人信用情報というデータベースにて、5年または10年の間、事故情報が登録されるからです。

消費者信用制度を利用できないため、スマートフォンや住宅、家電などは一括払いで購入しなければならなくなることもありえます。

免責後の財産はどうなる?残せる財産と残せない財産とは?

免責後の生活については先ほど紹介しましたが、財産はどうなるのでしょうか。残せる財産と残せない財産について、東京での運用を例に、以下にまとめました(ケースによっては、例外的な扱いもあり得ます)。

基本的な考え方としては、生活に必要な財産を除いてすべて破産財団として換価・配当の対象となってしまいます。

  • 家財道具:原則として残せる
  • 現金:99万円を超える現金は残せない
  • 預貯金:残高20万円を超える預貯金は残せない
  • 持家:原則として残せない
  • 車:20万円超えの価値が残っているか、所有権留保の場合は残せない
  • 生命保険:解約返戻金が20万円を超えていれば残せない
  • 退職金:退職予定時期がまだ先の場合で、退職金の見込額が160万円相当額を超えているときには、その8分の7は支払うべきことになる
  • 破産手続開始決定後に取得した財産:残せる(新得財産。ただし、破産手続開始前に取得原因があった場合は別)

自己破産で残せる財産について詳しい記事はこちら:「自己破産したら車や持ち家はどうなる?残せる財産と残せない財産の基準

なお、どの範囲で財産を残せるかの運用基準は、裁判所ごとに異なります。

また、上述のとおり、お金を支払う義務が免責後も残る場合もありえ、その場合、自由財産・新得財産として残せた財産が引当てになるおそれもありますので、ご注意ください。

事前に弁護士に相談しておくと良いでしょう。

まとめ

自己破産で免責を得るメリットは以下です。

  • 借金を返さなくてもよくなること
  • 一定の債権者が起こした訴訟手続が中断すること
  • 給料の差押えなどの強制執行などが失効すること

自己破産で免責を得るデメリットは以下です。

  • ブラックリスト状態になる=借金ができない
  • 一定の財産が処分される
  • 職業・資格に制限を受ける
  • 保証人に迷惑がかかる
  • 官報に氏名等が載る

免責後の生活には、ローンが組めない・生活に必要な財産以外は原則としてすべて処分されるなどのデメリットはありますが、それ以外で極端に生活がしづらくなることはほとんどありません。

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