自己破産の免責とは?免責不許可となるケースや免責後の影響を解説

最終更新日:2021/09/30

監修

弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 淺海 菜保子

弁護士法人サンク総合法律事務所 淺海 菜保子

自己破産をしても「免責」を受けられなければ意味がありません。

免責とは、負債の返済義務をなくしてもらえる裁判所の決定をいいます。

今回は
自己破産の免責や免責不許可となってしまう条件、免責後の生活などについて解説します。

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この記事の要約
  • 免責を受けても免除されない債権(非免責債権)がいくつかある
  • 破産申立をしてから免責決定がおりるまでの期間は、同時廃止の場合2~3ヶ月程度、管財事件の場合半年程度
  • 原則として免責を認めない免責不許可事由があるが、裁量免責によって免責されるケースが多く、自己破産で免責を得られないケースは統計上2%程度
  • 免責決定が確定した後に生活に起こる変化は「借金返済義務がなくなること、ブラックリスト状態になること、復権すること」等



免責とは?

免責とは、破産者の負債支払い義務を0にする裁判所での決定です。免責を受けると、破産手続きの中で申告した債権のうち、基本的には、後述する非免責債権以外の全てについて、返済の必要がなくなります。そのため、今ある借金の返済が苦しく、支払いができないという方にとっては、非常に有益となるものです。

一方で、自己破産の申し立てをしても、最終的に免責を受けられなかった場合には、その後も返済する必要があることになります。そのため、自己破産の申し立てをする上で、免責を受けるというのは、非常に重要な意味があるのです。

免責されない債権

実は、もともとの債権の性質上、免責の効力が及ばない債権がいくつかあります。それらを非免責債権といいます。具体的にどういったものがあるのか、みてみましょう。

  • 税金
  • 婚姻費用、養育費、扶養料
  • 故意または重過失で加えた生命身体に対する不法行為にもとづく損害賠償請求権
  • 悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償請求権
  • 個人事業主が支払うべき従業員の給料、預り金
  • 破産者が知りながら債権者名簿に記載せず裁判所へ報告しなかった債権者の債権
  • 罰金



たとえば相手を殴って傷つけた場合や人のお金を横領した場合の損害賠償請求権などの支払い義務がある場合、免責を受けても残ってしまいます。

主な非免責債権がある場合の対処方法

基本的には「相手と交渉し、減額してもらうなどして分割で支払う」他ありません。

税金を払えないときには市役所・区役所へ連絡して協議しましょう。養育費や婚姻費用を払えないときには相手方と話し合うか、家庭裁判所で減額調停を申し立てることをおすすめします。

免責を受ける方法・期間

自己破産を申し立ててから免責を受けるまでの流れ、方法や期間を確認しましょう。

STEP1 裁判所に破産・免責申立
自己破産するなら、まずは書類等を準備して「破産と免責の申立」をしなければなりません。
通常、破産と免責は同時に申し立てます。弁護士に依頼すれば弁護士が本人の代理人となって、手続きを行います。弁護士と連絡を取り合って、申し立てに必要な書類の収集などの準備を行いましょう。

STEP2 破産手続き
破産と免責の申立があると、裁判所で「破産手続き開始決定」が下されます。
管財事件になった場合には、破産者の財産が管財人に引き継がれて管財人が財産の換価(現金化)を進めます。

同時廃止になった場合には破産手続開始決定と同時に破産手続きが廃止されます。具体的な破産手続きは行われません。

同時廃止・管財事件について詳しい記事はこちら:「自己破産の同時廃止と管財事件とは?ー自己破産の流れと期間は?手続きの種類ごとに解説【債務整理】

STEP3 破産手続の終結または廃止(管財事件の場合)
管財事件になった場合、管財人による財産換価や配当が終了すると破産手続きが終結し、財産が換価に足りない場合には破産手続きが廃止されます。

STEP3 免責審尋(同時廃止の場合)
同時廃止になった場合には、破産手続き廃止決定後に裁判所で「免責審尋」が行われるのが一般的です。
免責審尋とは、裁判官が破産者と面談していろいろな質問をする手続きです。裁判官が、最終的に、免責することが適当なのかどうか、破産者本人に会って判断するために実施されるものと考えましょう。

STEP4 免責決定
管財事件になった場合には破産手続きの終結または廃止後速やかに裁判官によって免責の可否が判断されます。
同時廃止になった場合には免責審尋後速やかに裁判官によって免責の可否が判断されます。

免責決定が確定すると、正式に借金の返済義務が免除されます。

破産申し立てから免責決定までの期間

破産申立をしてから免責決定がおりるまでの期間は、同時廃止か管財事件かで異なります。

同時廃止の場合
同時廃止の場合、破産申立から免責決定が出るまでの期間は標準的に2~3ヶ月程度です。

管財事件の場合
少額管財事件となった場合、破産申立から免責決定が出るまでの標準的な期間は半年程度です。

なお、この期間はあくまで標準的なものです。事案によっては裁判所の判断が出るまでの時間がかかったり、管財人の調査に時間がかかったりする場合もありますので、一つの目安として考えましょう。

免責が許可される割合

計算機と書類

自己破産の申し立てをしたからといって、どのような場合でも免責を受けられるとは言い切れません。実際に申し立てをした中で、どのくらいの件数が免責を受けられているのか、見てみましょう。

令和元年(平成31年)の司法統計によると、個人の破産既済事件数は72590件、うち「棄却または却下」となった件数が109件、「取下げ」1172件、正常な終結や廃止とならずに「その他」に分類されるものが172件となっています。(「その他」には免責不許可となった事案も含まれると考えられます。)

棄却や却下、取下げ、その他になった場合には免責を受けられていないと考えられ、これらの合計の割合は全体件数のうち約2%です。

つまり自己破産をしても免責されない割合はわずか2%程度であり、約98%の方は無事に免責を受けられたといえるでしょう。

(参考:第108表 破産既済事件数―破産者及び終局区分別―全地方裁判所)

免責不許可事由に該当すると免責されない?

自己破産の申し立てをしても、免責不許可事由があると免責を受けられない可能性があります。

免責不許可事由とは、原則として免責を認めない事由をいいます。

以下のような事由があると免責不許可事由に該当するので注意しましょう。

  • 浪費やギャンブル、投機行為
  • 財産隠しや隠蔽、毀損
  • 自己破産の申し立てがあった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間になされた、詐術を用いての借金(詐術とは、返済意思や能力がないのにそれがあるかのように装って借金することです)
  • クレジットカードの現金化
  • 特定の債権者にのみ返済
  • 裁判所へ虚偽報告をした
  • 管財人の業務を妨害、協力しない



ただし免責不許可事由があっても裁量免責によって免責されるケースもあります。そのため、免責不許可事由があったからといって、一概に免責が受けられなくなるものでもありません。裁量免責とは、裁判所の裁量によって免責を許可する決定です。

免責後の生活への影響は?

自己破産をして免責を受けられたら、その後の生活にどういった影響が及ぶのでしょうか?

借金返済義務がなくなる

免責の一番大きな効果は「負債の支払い義務がなくなること」です。

ローンやクレジットなどの借金、滞納していたスマホ代など、ほとんどあらゆる債務を帳消しにしてもらえます。ただし税金などの一部の非免責債権だけは残ります。

ブラックリスト状態になる

自己破産をすると、いわゆる「ブラックリスト状態」になります。ブラックリスト状態とは、信用情報に債務整理などの事故情報が登録され、ローンやクレジットカードなどの審査に通りづらくなる状態です。

自己破産をすると、ブラックリスト状態になり、その後5~10年程度の期間はローンやクレジットカードなどを利用できない可能性が高くなると考えましょう。

ただし一定期間が経てば事故情報は消去されます。

各種の制限がなくなる(復権する)

自己破産の手続き中はいろいろな制限が及ぶ可能性があります。

・資格制限
宅建士、弁護士や司法書士、税理士、警備員、保険外交員など一部の仕事や資格が制限されます。免責決定が確定すると、こういった制限は解除され、またそれらの業務が行える状態に戻ります。

・引っ越しや長期旅行の制限
自己破産の手続き中は引っ越しや2泊以上の旅行をするときに裁判所の許可が必要となります。免責決定が確定すると、そういった制限は解除されます。

このように、免責決定が確定することによって種々の制限が解除されることを「復権」といいます。

自己破産の手続き中にできなくなることや自己破産後の生活については、こちらの記事にも詳しく書かれていますのでご参照ください。
自己破産するとどうなる?手続き中やその後の生活でできること・できないこと

まとめ

免責とは、破産者の負債支払い義務を0にする裁判所での決定です。

免責を受けても免除されない債権(非免責債権)がいくつかあります。

破産申立をしてから免責決定がおりるまでの期間は、同時廃止の場合2~3ヶ月程度、管財事件の場合半年程度です。

原則として免責を認めない免責不許可事由がありますが、裁量免責によって免責されるケースが多く、自己破産で免責を得られないケースは統計上、わずか2%程度のものとなっています。

免責決定が確定した後に生活の中に起こる変化は、主に下記のものとなっています。
・借金返済義務がなくなる
・ブラックリスト状態になる
・復権する

せっかく自己破産の申し立てをしても、知識やノウハウ不足で免責がおりなければ意味がありません。借金返済が苦しくお困りの方は、お気軽に弁護士までご相談ください。

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