【具体例付き】自己破産とは?そのリスクやメリットを徹底解説

監修

弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 今枝 利光

弁護士法人サンク総合法律事務所 今枝 利光

自己破産は、裁判所に申立をして借金を「完全に0(税金や健康保険料などは残ります)」にしてもらえる手続きです。ただし生活に最低限必要な限度を超える財産は、基本的にすべて失われます。

収入に対し借金の額が大きすぎる、もしくは収入が見込めず借金が減額されたとしても返済が困難、などという方は自己破産を選択することが多いです。

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<この記事の要約>

  • 自己破産とは、借金が支払えない状態になった時に、裁判所に認めてもらって借金の支払い義務を免除してもらう手続き
  • 自己破産には、借金の支払い義務が全額免除される、収入がなくても利用可能、債権者の同意が不要などのメリットがある
  • 自己破産のリスク・デメリットは、ブラックリスト状態になる、一定以上の財産が失われる、官報公告される、職業制限を受ける可能性がある、保証人付き債務があると保証人に影響が出る、免責不許可事由があるなど

自己破産とは

借金が支払えない状態になった時に、裁判所に認めてもらって借金の支払い義務を免除してもらう手続きです。

自己破産をすると、税金や慰謝料・養育費などの非免責債権を除く、全ての借金がゼロになります

「借金が支払えない状態であるかどうか」というのは、もちろん債務者(借主)の申告だけでは判断されません。

債務者が持っている財産や収入・支出の状況から、裁判官に「借金を全て返済することができない」と判断される必要があります。

自己破産は誰でもできるわけではなく、条件があるのです。
詳しい記事はこちら:「自己破産できる条件とできない場合の対処法

自己破産をすると借金がゼロになる代わりに、一定以上価値のある財産は処分されます。本人名義の住宅や車などがある場合はそれらの財産を手放すことになります。

自己破産のメリット

自己破産のメリットは主にこちらです。

 

  • 借金の支払い義務が全額免除される
  • 債権者からの督促が止まる
  • 収入がなくても利用可能
  • 債権者の同意が不要

 

それぞれの詳細を見ていきましょう。

借金の支払い義務が全額免除される

自己破産の何よりのメリットは、借金の返済義務が全額免除されることです。債務整理の中でも「一切支払いをしなくて良くなる」のは自己破産のみです。たとえば滞納家賃や光熱費、滞納したスマホ代金なども免除されます。ただし税金や健康保険料、養育費などの一部の支払いは残ります。

債権者からの督促が止まる

自己破産を弁護士に依頼すると、基本的にはその時点で債権者からの督促が止まり、同時に返済もしなくて良くなります。その後無事に免責(借金を0にする決定)が下りたら一切返済しなくてかまいません。依頼と同時に借金生活から解放されるのは大きなメリットといえるでしょう。

収入がなくても利用可能

自己破産をすると借金の返済義務がなくなるので、収入は不要です。無職無収入や病気・障害により働けない方、生活保護の方などでも利用できます。

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債権者の同意が不要

任意整理では個別の債権者の同意がないと借金の減額ができません。個人再生も最終局面で「過半数の債権者が反対」したら借金が減額されません(原則的な小規模個人再生の場合)。

自己破産なら、債権者が反対していても免責不許可事由がないなどの要件をみたしていれば借金が免除されます。免責不許可事由とは「該当すると借金が免除されない事情」です。浪費やギャンブル、財産隠しなどが免責不許可事由の典型です。こちらについては後ほど詳しく解説します。

自己破産のリスク・デメリット

自己破産のリスク・デメリットは主にこちらです。

 

  • ブラックリスト状態になる
  • 一定以上の財産が失われる
  • 官報公告される
  • 職業制限を受ける可能性がある
  • 保証人付き債務があると、保証人に影響が出る
  • 免責不許可事由がある

 

それぞれの詳細を見ていきましょう。

ブラックリスト状態になる

自己破産をしても、個人信用情報に事故情報が登録されて「ブラックリスト状態」になり10年程度続く可能性があります。

一定以上の財産が失われる

債務整理 財産

自己破産をすると、生活に必要な最低限度を超える財産が失われます(具体的には、換価され債権者に配当されます)。

基準は全国の裁判所によって微妙に異なりますが、現金であれば99万円、預貯金や保険・車などの場合には価値が20万円を超える場合に換価されるケースが多いです。

ただし財産がない人にとっては影響のないデメリットといえますし、また財産が本人名義ではなく家族名義の場合は換価されません。
残せる財産の基準について詳しい記事はこちら:「自己破産したら車や持ち家はどうなる?残せる財産と残せない財産の基準

官報広告される

官報

自己破産をすると『官報公告』が行われます。これは、政府の発行している「官報」という、新聞のような機関誌に自己破産した情報が掲載されることです(個人再生をしても官報公告されます)。
ただ、一般人で官報を読んでいる方は少数なので、たとえ官報公告されても周囲に自己破産したことを知られる可能性は低いといえます。

職業制限を受ける可能性がある

自己破産の手続き中は、一定の職業や資格が制限されます。たとえば以下のような資格や職業が制限対象です。

  • 弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、行政書士、通関士、土地家屋調査士、社会保険労務士などの「士業」
  • 宅建業の資格
  • 貸金業、質屋
  • 旅行業務取扱主任者
  • 生命保険の募集人
  • 警備員
  • 建設業
  • 卸売業者
  • 調教師
  • 騎手 など

資格制限を受ける期間は、破産手続き開始決定後から免責決定が確定するまでの間のみです。免責決定が確定したら、制限されていた仕事を再開できます。

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保証人付き債務があると、保証人に影響が出る

自己破産は、対象とする債権者を選べずすべての借金を免除対象にする必要があります。奨学金や個人からの借金、事業の買掛金などももれなく対象にする必要があります。

保証人がついている借金がある場合、債権者は保証人に一括請求をすることがほとんどなので、保証人に影響が出ます。

免責不許可事由がある

自己破産には免責不許可事由があります。

免責不許可事由とは「自己破産において、あてはまると免責許可が下りない(自己破産ができない)事情」です。

たとえば浪費やギャンブルなどで多額の借金をしてしまった場合、財産隠しや債権者隠しをした場合、裁判所や破産管財人(破産手続きを進める人。基本的に地域の弁護士が就任する)の手続きに協力しなかった場合などです。

ただし多少の免責不許可事由があっても裁判所の「裁量」によって免責が認められる例があります。浪費やギャンブルをしていても自己破産できる可能性は0ではありませんので、心配な方は弁護士に相談してみて下さい。

自己破産の費用相場

自己破産には、弁護士などの専門家に依頼する着手金・報酬金と裁判所に支払う実費がかかります。

また財産がない方などに適用される同時廃止という簡単な手続きに比べて、財産が一定以上ある方などに適用される管財事件という手続きの方が、実費が多くかかります。主に財産の管理や処分などを行う「破産管財人」への報酬などが必要なためです。

同時廃止と管財事件について詳しい記事はこちら:「自己破産の流れと期間は?手続きの種類ごとに解説【債務整理】

弁護士に支払う着手金・報酬金
40万円〜70万円程度
裁判所に支払う実費
2万円〜22万円程度(もしくはそれ以上)

手持ちの財産額が少ないケースでは同時廃止にできますが、財産がある場合には、弁護士費用に充てて手持ち金を減らすことにより、より実費の少ない同時廃止にできるケースなどもあります。
申立前に同時廃止で手続きを進められそうか、一度弁護士に相談してみると良いでしょう。

また、多くの法律事務所では自己破産費用の分割払いに対応しています。

頼れる弁護士

自己破産が向いている人

 

  • 事業で失敗して到底返済不可能な金額の借金ができた
  • 片親で収入が少なく返済ができない
  • 病気・障害などで働けず返済ができない
  • 生活保護を受給予定
  • 奨学金をどうしても返せない
  • 住宅ローンを滞納していたら競売となり家が売却され、高額な負債が残った
  • 親族などの連帯保証人になっていたら、本人が自己破産して自分も支払いができない
  • 他の債務整理方法では解決できない など

 

自己破産の手続きについてより詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!:「自己破産の流れと期間は?手続きの種類ごとに解説【債務整理】

自己破産の具体例

自己破産で借金問題を解決した方の具体例を紹介します。

Aさんの具体例

自己破産 具体例 700万円


以前は収入が多く、比較的裕福な生活をしていました。転職して収入が大きく下がったのですが、生活レベルを落とすことができず、少しずつ借金をするようになりました。

・借金の内訳にはどのようなものがありますか?


車のローンと、娘の学費補填、あとは生活費として借りた銀行のカードローンです。

・ご家族には何か影響がありましたか?


ローン中の車は妻が使っていましたが、自己破産をすることでその車を手放さなければなりませんでした。あとは、家は賃貸ですし、娘の学費補填のために銀行で組んだローンも保証人はいなかったので、特にその他の影響はありませんでした。

・弁護士事務所に相談しようと思ったきっかけは何ですか?


毎日借金のことばかり気にして、何も手につかなくなっていました。なんとかしないとと思い、インターネットで検索して、実績の多そうな事務所に相談しました。

・自己破産をした今、どう感じていますか?


多少不便なこともありますが、何より「もう見栄を張らなくていいんだ」と気が楽になったので、手続きをしてよかったと思います。
弁護士さんに自己破産を提案され、恥ずかしながらようやく現実を直視することができました。はじめは自己破産にとても抵抗がありましたが、今思えばその時はもう、自己破産するしかない状況でした。

Bさんの具体例

自己破産 具体例 400万円


主に以前していた事業の資金のために、借金をしていました。

・弁護士事務所に相談しようと思ったきっかけは何ですか?


数年前、精神疾患を患ってしまい、事業を続けられず、返済の見込みが立たないというどうしようもない状態になってしまいました。
テレビCMなどで、借金問題は弁護士に相談できるということは知っていたので、インターネットで先生が優しそうな事務所を探し、相談しました。

・自己破産をすることでご家族に影響が出たり、生活に支障が出るようなことはありませんでしたか?


私は1人暮らしで、資産も特になかったので、何も困ったことはありませんでした。クレジットカードやローンはもう利用したくないと思っていたので、ブラックリスト状態になっても問題ありませんでした。

・自己破産をした今、どう感じていますか?


悩みがなくなって、すっきりしています。もちろん借りていた銀行さんなどには心から申し訳なく思っていますが…。
今は、障害があってもできる仕事と障害年金の収入の範囲で、無理のない生活を送れるようになりました。

まとめ

自己破産には以下のようなメリットがあります。

 

  • 借金の支払い義務が全額免除される
  • 債権者からの督促が止まる
  • 収入がなくても利用可能
  • 債権者の同意が不要

 

また、自己破産には以下のような注意点があります。

 

  • ブラックリスト状態になる
  • 一定以上の財産が失われる
  • 官報公告される
  • 職業制限を受ける可能性がある
  • 保証人付き債務があると、保証人に影響が出る
  • 免責不許可事由がある

 

費用の目安として、40万円〜70万円程度、管財人が選任される場合は+20万円程度かそれ以上になることが多いですが、弁護士事務所に依頼をする場合、債権者への返済を止めている間に分割払いができる事務所がほとんどです。

収入に対し借金の額が大きすぎる、もしくは収入が見込めず借金が減額されたとしても返済が困難、などという方は自己破産が向いている場合が多いです。

ただ、自己破産には免責不許可事由がありますし、財産や保証人に影響が出る可能性もあるため慎重に対応する必要があります。

どの債務整理手続きを行うのが最適なのかは自分だけではわかりませんので、弁護士に相談し、最善の方法を一緒に考えてみましょう。

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