会社破産と代表者の関係や経営者が自己破産するときの注意点

最終更新日:2021/04/26

監修

弁護士法人サンク総合法律事務所
弁護士 今枝 利光

弁護士法人サンク総合法律事務所 今枝 利光

面談

会社経営が立ちゆかなくなってくると、破産も視野に入れて検討しなければならないでしょう。このとき、会社の破産と代表者の破産手続きは異なるので、分けて考える必要があります。

今回は会社や代表者が破産するときに知っておきたい注意点を解説します。経営状態が悪化してお悩みの方はぜひ、参考にしてみてください。

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この記事の要約

会社が破産しても代表者本人には影響はないが、代表者が会社の負債の連帯保証人になっていたら、一緒に破産せざるを得ないケースが多数会社の代表が破産したからといって会社も破産する必要はないが、実際は会社が代表者に対して「負債」を持っており、支払えず一緒に破産するというケースが多数

会社や代表者が破産しても、保証人になっていない限り直接家族への影響はない

代表者へのその他の影響
・一定以上の価値のある財産がない状態からの再スタートとなる
・一定期間融資が受けられない
・手続き完了までの期間、資格・職業制限がある

破産しても会社を経営することはできる



会社の破産とは

会社の破産は、債務超過や支払不能状態になった会社を清算するための手続きです。
会社が破産すると、会社の資産からできる限り負債を支払い会社は消滅します。会社自体がなくなるので残った負債の支払い義務はなくなります。個人の破産と違い、税金や健康保険料などの公的な支払も残りません。

会社が破産した場合の代表者への影響

会社の破産と個人の破産は異なります。会社が破産したからといって、代表者の資産には影響しませんし、代表者の信用情報に事故情報も登録されません。代表者が会社の破産後にローンやクレジットカードを利用できなくなることも通常はないと考えられます。

ただし代表者が会社の負債について「連帯保証人」になっていたら、代表者本人も一緒に破産せざる得ないケースが多数です。代表者が破産しない限り、代表者は会社の残した負債のうち連帯保証をしている負債を支払わねばなりません。

会社の破産と個人の破産の主な違い

会社の破産と個人の破産の主な違いをまとめると、以下のようになります。

  • 会社が破産すると会社のすべての負債がなくなるが、個人が破産すると税金などの非免責債権(破産しても免責されない債権)が残る
  • 会社の場合には免責不許可事由(免責が許可されない一定の事由)がないが、個人の場合には免責不許可事由があり、該当すると免責を受けられない可能性がある
  • 会社が破産するとすべての財産がなくなるが、個人の場合には一定未満の財産を残せる
  • 個人の場合には財産が少ないと同時廃止になる可能性があるが、会社破産の場合には必ず管財事件になる

管財事件と同時廃止事件について詳しい記事はこちら:「自己破産の同時廃止と管財事件とはー自己破産の流れと期間は?手続きの種類ごとに解説【債務整理】

会社の代表が破産した場合の会社への影響

会社の代表者が破産すると、会社も破産しなければならないのでしょうか?

代表者の破産による会社への影響をみてみましょう。

まず会社と個人は別人格なので、代表者が破産したからといって会社が破産する必要はありません。代表者が個人的な借入によって債務超過になっているなら、代表者本人だけが破産できます。

その場合、代表者の資産は失われますが会社の資産は残りますし、会社は今まで通り存続します。

ただし現実としては、代表者が破産するような状態になっていると会社も破産しなければならないケースが多数です。たとえば代表者が会社に多額の貸付をしていたり、未払いの役員報酬があったりすると、会社は代表者に対してそうした負債を支払わねばなりません。

会社に支払能力が不足していたら、破産するしかなくなるのです。

また代表者が破産すると会社との委任契約が終了するので、いったんは代表者の地位を退任しなければなりません。代表を続けるためには破産手続が終了した後で再任される必要があります。

会社と代表者が同時に破産をする手続きの流れ

計算機と書類
日本の中小企業では、事業資金借入の際に代表者が会社借入の連帯保証人になるケースが少なくありません。そういった場合、会社が破産して代表者も支払が困難となったら一緒に破産せざるをえないのが現実です。

会社と代表者が同時に破産手続きを進めるときには、以下のような流れになります。

①弁護士に相談する
まずは弁護士に相談するところから手続きを開始しましょう。

会社の破産は個人破産以上に複雑です。代表者も破産する場合、個人の分と会社の分の2件分の資料を集めて申立をしなければなりません。その間、個人で対応すると債権者からの督促も止められません。こういった事情から経営者本人が破産手続きを進めるのはほとんど不可能といえるでしょう。

弁護士に破産手続きを依頼すると、債権者からの督促が止まります。個人の貸金業者からの督促はもちろん、会社に対する取引先やリース会社などの諸々の債権者からの督促も止まるケースが多数です。

落ち着いて会社の清算廃業を進めていくためにも、早めに弁護士に対応を依頼しましょう。

②申立に必要な資料を集める
破産を申し立てるときにはたくさんの資料が必要です。会社と個人の両方が破産するときには会社の決算資料や預貯金、不動産などの資産に関する資料、個人の分の資産や収入に関する資料など膨大な資料を集めなければなりません。

こちらに関しても、弁護士に依頼すれば具体的な指示をしてもらえます。

③会社と個人の破産を申し立てる
資料が揃ったら、弁護士が裁判所へ会社と個人の破産申立を行います。破産管財人の予納金が必要になります。

④破産管財人と面談する
破産手続き開始決定がおりると破産管財人が選任され、面談をしなければなりません。これまでの経緯などを詳しく聞かれるので、わかりやすく答えていきましょう。

怒られることなどは通常ないので、心配しすぎる必要はありません。

ただし財産隠しや債権者隠しは絶対にしないように注意しましょう。

⑤換価と配当
破産管財人が会社や個人の財産を調査し、換価と配当を行っていきます。その間、裁判所で何度か債権者集会が開催されます。

⑥破産手続きが終結する
換価と配当の手続きが終わったら、破産手続きは終了します。法人についてはこの時点で手続きが完了し、個人については引き続いて免責の判断が行われます。

⑦免責決定が出る
破産管財人の意見にもとづいて裁判官が代表者個人を免責すべきかどうか判断します。免責不許可事由がなければ通常は免責してもらえます。

免責決定が出ると、個人の負債もほとんどが免除されます。ただし個人の税金や健康保険料、養育費などの非免責債権は残るので、注意しましょう。一方、会社の税金は払う必要がありません。

会社と代表者が同時に破産手続きを行う場合、手続きが終了するまでにかかる期間は半年程度ですが、もっと長くなる可能性もあります。非常に複雑な手続きなので、弁護士に依頼するとスムーズです。

経営者個人の資産への影響

会社が破産するとき、経営者個人が破産しなければ個人資産に影響はありません。

ただ個人も破産する場合には一定以上の資産がなくなります

自己破産で残せる財産の範囲については以下で詳しく説明しているので、ご参照ください。

自己破産したら車や持ち家はどうなる?残せる財産と残せない財産の基準

家族への影響

会社や代表者が破産しても、家族に支払の督促はされません。ただし家族が保証人や連帯保証人になっていたら、家族が支払う必要があります

また家族名義の資産に対する影響もありません。ただし家族が会社や代表者の負債の保証人になっていて支払えない場合、債権者から裁判をされて家族の財産が差し押さえられる可能性があります。また家族が自己破産する場合には、家族の財産も配当対象になって失われます。

自己破産したときの家族への影響について、詳しくはこちらの記事でご説明していますので、ご参照ください。
自己破産すると家族や同居人にどんな影響が及ぶの?【債務整理】

代表者へのその他の影響

書類
自己破産したからといって、代表者個人に罰則などのペナルティはありません。ただし、破産後には主に以下のような制限がかかります。

  • 一定以上の価値のある財産がない状態からの再スタートとなる
  • 一定期間融資が受けられない
  • 手続き完了までの期間、資格・職業制限がある

 

一定以上の価値のある財産がない状態からの再スタートとなる

破産によって、大きな価値のある財産がない状態からの再スタートとなります。破産後に得た財産は全額自分のものになるので、気分を入れ替えて前進しましょう。

一定期間融資が受けられない

また信用情報に事故情報が登録されるので、5~10年間はクレジットカードやローンを利用できない可能性が高くなります。

手続き完了までの期間、資格・職業制限がある

自己破産後に企業に勤めたり、再度起業したりすることは可能ですが、その際職業や使用する資格によっては制限がかかる場合があります。

たとえば以下のような職業や資格が制限対象です。

  • 弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、行政書士、通関士、土地家屋調査士、社会保険労務士などの「士業」
  • 宅建業の資格
  • 貸金業、質屋
  • 旅行業務取扱主任者
  • 生命保険の募集人
  • 警備員
  • 建設業
  • 卸売業者
  • 調教師
  • 騎手 など

制限を受ける期間は、破産手続き開始決定後から免責決定が確定するまでの間のみです。免責決定が確定したら、制限されていた仕事を再開できます。

その他に住居制限などはありません。

破産しても会社経営はできる

代表者と会社が破産した場合、元代表者はその後に起業できるのでしょうか?

結論から言うと、新しく会社を立ち上げることも代表取締役になることも可能です。

ただし新しく会社を始める際には以下の点に注意しなければなりません。

  • 手続き後5~10年ほどは融資を受けられず連帯保証人にもなれない(信用情報に事故情報が登録されるため)
  • 取引先からの信用を失って取引が制限される可能性がある

まとめ

会社が破産しても代表者本人には影響はありませんが、代表者が会社の負債の連帯保証人になっていたら、一緒に破産せざるを得ないケースが多数です。

会社の代表が破産したからといって会社も破産する必要はありませんが、実際は会社が代表者に対して「負債」を持っており、支払えず一緒に破産するというケースが多数です。

会社や代表者が破産しても、その家族が保証人になっていない限り直接家族への影響はありません。

代表者へのその他の影響として以下が挙げられます。

  • 一定以上の価値のある財産がない状態からの再スタートとなる
  • 一定期間融資が受けられない
  • 手続き完了までの期間、資格・職業制限がある

 

破産しても会社を経営することは可能です。

会社が破産するときには複雑な手続きに対応する必要があります。不利益をなるべく小さくするための工夫を要するケースも少なくありません。

自己判断で動く前に、迷ったときにはお早めに弁護士までご相談下さい。

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