
個人が突然、税務調査などを受けて所得税や住民税、消費税、相続税、追徴課税など多額の税金納付が必要になることがあります。
場合によっては数百万円~数千万円以上の追徴課税がかかる場合があり、個人ではどう頑張っても支払いに困ることがあります。
この場合、自己破産手続きを執ることによって支払いを免れることが出来るのでしょうか。
また、個人で住民税などの納税が遅れた場合に、いわゆるブラックリスト状態になって借入が出来なくなることはあるのかも気になります。
今回は税金を払えない場合の自己破産の有効性や、税金納付遅れとブラックリストの関係についてお伝えします。
<この記事の要約>
- 税金の支払い義務は自己破産してもなくならない
- 税金の支払いができない場合は、税務署などと話し合う他ない
- 自分の悩みにあった専門の税理士に相談するのが最善
税金は自己破産でも免責されない!
個人事業者は毎年の売上げや経費などに関して所得税や消費税の確定申告をします。
青色申告を利用している人も多いでしょう。
ところが、この確定申告書に関して税務署から税務調査などを受けることがあります。
しっかりと申告・納税していれば問題ないといえますが、このときに飲食店の利用の領収書や通帳、帳簿などをきちんと提出して説明が出来ないと、多額の追徴課税をされることがあります。
通常はそこまで大きな金額にはなりませんが、脱税など税務署に悪質と判断された場合には巨額の追徴課税の可能性もあります。
(当然ながら、株式会社や有限会社など会社・法人の場合も同じく税務調査や追徴課税されることがあります)
この場合、多額の税金の支払いが必要になってしまい、とうてい納税できない状態になることがあります。
どうしても税金を払えない場合に、自己破産手続きによって税金支払いを免れることはできないのでしょうか。
まず、税金支払いは自己破産をしても免れることはありません。
自己破産をすると基本的な債務はすべて返済不要になりますが、税金や健康保険料などの公租公課については免除されないからです。
税金を自己破産で解決できれば確かに楽ですが、それを認めると、悪用する人が続出する可能性があるため、巨額の税金の支払いに困っている対象者には厳しい現実ですが認められていません。
ですので、突如大きく稼いだ翌年などに税金の支払いに困るプロスポーツ選手や芸能人といった有名人が少なくないわけですね。
このように自己破産でも免除されない支払いのことを「非免責債権」と言います。
重要なので繰り返しますが、追徴課税などがあって支払いが出来ない場合でも、自己破産によって支払いを免れることは出来ません。
納税は国民の義務ということもあり、税金の支払いからはどうやっても逃れられないのが現実です。
また、これを知らずに自己破産するとブラックリスト状態になりますが、税金はそのまま残ってしまうので、この点においては何らメリットがありません。
むしろ、借金もできずにローンも組めず、クレジットカードすら作れませんので、税金の支払いで困っている場合には自己破産はデメリットしかありません。
税金滞納とブラックリストは無関係
税務調査を受けない個人でも、住民税や相続税、自動車税などの税金額が多額になって、納付出来ないことがあります。
競馬や宝くじの購入、借金返済などにお金を使ってしまっていることもあるでしょう。
このように税金払えない場合に納税を延滞するとブラックリスト状態になってしまい、銀行などの金融機関などから借入が出来なくなることはあるのでしょうか。
ブラックリストとは、信用情報機関における個人信用情報に事故情報が記録されて融資の審査に通らなくなった状態のことです。
自己破産などをするとブラックリスト状態になることは有名です。
ただ、信用情報と税金支払いは無関係です。
よって、税金支払いを滞納したからと言ってブラックリスト状態になることはありません。
この点は安心しても大丈夫です。
税金の支払いが出来ない場合の対処法
個人自営業者などが税務調査を受けて多額の税金支払いが必要になってしまい、支払いが出来ない場合などに自己破産しても解決出来ないことはわかりました。
では、税金払えない場合には、どのように対処すれば良いのでしょうか。
この場合には、税務署などの処分庁と個別に税金支払い方法について協議する必要があります。
現金での納付が難しければ物納なども可能ですし、一括納付が出来なければ分納手続きも出来ます。
自分でどう対処すれば良いかわからない場合は、税金のプロである税理士に相談に行くと良いでしょう。
税理士ならばブラックリストに関する問題を始めとして、気になることを質問すれば、きちんと丁寧にアドバイスしてくれます。
債務整理では弁護士や司法書士に頼みますが、自己破産しても税金の支払いには全く意味がないため、税金の問題の場合には税理士に頼むのがベストです。
問題が起こってからでも対応可能ですので、評判の良い税理士に助けを求めるのが一つの解決法と言えます。
税理士の選び方
税理士といっても数多くいますので、選び方は難しいと思います。
この場合には既に税務調査で問題が起こった後ですので、そういったトラブルに強い税理士を探してみると良いです。
税理士は税務署に23年以上勤めた税務署員が簡易試験のみで資格を取得することが出来ますが、その経緯から税務署とほぼ同じような立場をとることが多いため、一般の試験で資格を取得した税理士にお願いするのが問題解決のポイントです。
また、最近ではインターネットを絡めた事業や副業をしている人が多いため、インターネット絡みの仕事で問題が起こった場合にはネットに強い税理士に頼むのが効果的です。
税理士と言っても千差万別ですので、ネットなどで調べて評判の良い税理士に頼むことが問題解決には重要です。
まとめ
個人事業者が税務調査などを受けて多額の税金支払いが必要になった場合、自己破産をしても支払い義務は無くなりません。
税金支払いを滞納してもブラックリスト状態になることはありません。
税金払えない場合には、税務署などと支払い方法について協議をしましょう。
税金関係でわからないことがあれば、税理士に相談に行くのが効果的です。